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〜中身は空洞です〜

【第三夜】陰陽説と易

陰陽説とくれば、易について触れないわけにはいかないんだけれど、易について語るのはちと無理…
というわけで、まぁできる範囲でお話していきましょう。


太極図、見たことありますよね。いろんなバージョンがあるようですが、いちばん有名なのがこれ。陰陽論の原理を表してると言われます。
白と黒。わかりやすいですよね。そして黒の中に白があって、白の中に黒がある。
黒が消えたところから白が始まって、白が消えたところから黒が始まる。

いわゆる専門用語でいうと、こういう概念が含まれてます。
陰陽制約、陰陽消長、陰陽転化、陰陽互根、陰陽可分

…うーん。。。 これだけじゃ、なんのことやらさっぱり???ですよね。
ではちょっと進めてみましょう。
きょうの参考資料はこれ。
『中国の思想8 易経徳間書店 (←占い以前にフラットに、易経の原典にわかりやすくふれてみたい方にお勧めかと〜)

陰陽論は二項対立の単純な二元論、でないところがミソです。ここんとこだけをちょっと覚えておいてください。

陰陽の対立
易の思想の核心は、陽と陰(剛と柔、乾<けん>と坤<こん>)の対立という陰陽二元論である。あらゆる事物は、孤立して存在するものではない。必ず対になるものがあって、それと対立することによって統一した世界を作っているのだ。
すべての変化は、この陰陽の対立から生まれる。対立のないところに変化はない。

そもそも「易」は「変化」の意味だといわれています。
語源にはいろんな説があるようですが。

○ 「易」という字は、トカゲを側面から見た象形文字。上部の"日"はトカゲの頭部、下部の"勿"は足と尾であるという。(説文解字) ある種のトカゲは十二時虫とも呼ばれ、体の色を一日に十二回も変えるということから、「易」という字は「変化する」という意味を持つようになった。

○ 「易」という字は、「日」と「月」から構成されるとする日月説、太陽と月で陰陽を代表させているとする説もあり、太陽や月、星の運行から運命を読みとる占星術に由来すると考える人もいる。

○ 「易」は玉光の放射する形。そして「易」は台上の玉光の下方に放射する形である。…が、この字の意味するところは何かといえば、玉による魂振り(たまふり)という儀礼をあらわすのである。(白川静説)

どれが正しいのかは知りませんが。とりあえずは、陰陽説と易の最も大事なエッセンスは「変化」であると思っておけば間違いないかと思います。

陰陽の転化
陰は、柔・弱・低・受動的・女性的なるもの、陽は、剛・強・高・明・能動的・男性的なるものである。しかし、この両者は固定的・絶対的なものではなく、常に相互に転化するものである。陰は陽に変じ、陽は陰に変ずる。易における変化は、この陰陽の消長交替が基本である。

「事象は究極に達すれば変化し、変化することによって新しい発展をとげる」〜繋辞伝(けいじでん)下巻

太陽(陽)は中天に昇りつくとやがて下りはじめる。そして夜になれば月(陰)が昇る。夏(陽)と冬(陰)は交替して一年を作る。「物、極まれば必ず反す」、すべてはこうして循環しながら変化を作り出しているのである。

いちばんわかりやすいところでは、「男=陽」「女=陰」と言われます。まぁ大筋ではあってるでしょう。
しかし、これだけを丸覚えするだけでは、本当のところでは間違えてるよ〜!と思います。

凸があるから凹を求めるんじゃ〜!的なことだけ言ってるんでは、単なる猥談にすぎませぬ。
というか、それはそれはなんとも動物的な…(笑)

男性だからといって、すべてが「陽」であるとは限りません。男性だから、常に理性的で決断力に富んで積極的で勇敢で… とかさ。嘘っぽいよね。
陰っぽい男性もいます。「冷え性で心配性でくよくよしやすいけど、外では有能なビジネスマン!」とかさ。
男性の中にも女性的要素(陰)があるはずですし、もしかすると陰的要素の多い男性が増えている昨今の状況かもしれません。

逆に女性だからといって、すべて「陰」であるとは限りません。男性以上に凛々しく賢く統率力のある女性も増えているきょうこのごろです。
陽っぽい女性は増えてますよね。イマドキ言葉でいえば「肉食女子」とかさ。まぁ賛否はいろいろあるでしょうけど。(ここではこれ以上言わんとく)
いわゆる「女らしい」感じや「女性の強さ」的なものが「陰」を象徴するわけなので、この属性は女性にも男性にも見受けられるでしょう。

いかにもステレオタイプに男らしい!外見の方が実は敏感で繊細なめそめそ君だったり、いかにも女らしい!雰囲気の方が実は豪快でおおざっぱな人だったりとか、わりとありがちなことじゃないかと思います。

もっと簡単に言えば、「夏は暑い=陽」「冬は寒い=陰」という分類はもちろんあっているのだけれど、もしかすると寒い夏もあるし、暖かい冬もある。陰っぽい夏、陽っぽい冬もあったりするわけで、陰と陽はデジタルな二元論ではなく、限りなくその中にグラデーションを含んでいると思われます。

つまり、陰陽論は二元論だからといって、固定的に性質や役割を二分することはできないのです。
男女で陰陽を考えるときには、必ずここが結構ハマる落とし穴であるように思います。(→そしてそれは医療や占いにつながるんだよね)
厳格に「男=陽」「女=陰」と覚えて占術とか医療理論を学んでると、現代人的にはたぶん…息苦しくなってくるんじゃないだろか。
ここんところはたぶん覚えておいて損はないんじゃないかな〜…


※ ここから先は、完全な私見です。
しつこいようですが、「男=陽」「女=陰」は合ってるけど、それだけに拘泥すると現代の占いでは間違うことが多いように思います。
現代では、陽っぽい女性は多いです。陰っぽい男性も多いでしょ?

陰陽説では、陰と陰とか陽と陽、という組み合わせはダメです。陰陽の組み合わせをもって、良しとします。
でも、陰と陽を組み合わせたほうがいい、という発想も現代ではだんだん実感を持って受け入れられることが少なくなっているかもしれません。
うーん。ここまで肯定してしまうと、陰陽説自体の妥当性も怪しくなってきますが…(笑)

おそらく、昔から歴史の過程で陰陽説自体の解釈も変質してきたのではないかと想像します。
つまり、中国での儒教の思想=家父長制は男女の役割分担と権力関係を厳格に規定していますから、その理論武装の背景として陰陽論が援用されたということは大いに考えうる、というか当然の帰結ではなかろうかと思います。(スミマセン。裏をとってません。。。誰かご存知だったら教えて〜)

陰と陽の設定は、必ず対立する何か2つのカテゴリを想定して、なにを基準に分類するのかを自分ではっきりさせておかないと間違えます。
陰陽分類は、基本的には丸覚えするタイプのものではない、と思います。
ま、慣例的に分類されてるものも多いので、基本的な陰陽分類表に目を通しておくことくらいは必要ですけどね。

うーん。。。意外に書き出すと止まんないな。
またなんか思い出したら書きます。